教職員への配慮のお願い
各障がいの特性は「障がいについて」のページで記されていますが、このページでは特に先生方を対象に支援にあたっての配慮の要点を述べていきます。
個別性への配慮
まず留意していただきたいことは、支援対象となる学生は、障がいがあるという以前に、それぞれが個性を持った一人の人間である、ということです。社交的な学生もいれば内向的な学生もいる、せっかちな学生もいればのんびりした学生もいる等々、それぞれが個性を持った人間であり、極言すれば障がいはその個性の一つとも捉えられます。
その意味では「障がい学生」という表現は好ましいものではないかもしれません。障がいを通して学生を見るのではなく、一人の学生の個性として障がいを見てください。この個性の中で、支援に関係の深いものとして、人に助けを求めることに抵抗がない学生と抵抗がある学生、自分の障がいを受け入れている学生と障がいを受け入れにくいと感じている学生等、考え方にも個性があります。障がいを持ちながらも、支援を受けることに抵抗を持つ学生もいるかと思います。その障がいが学習上の支障にならなければ、本人の意思を尊重すべきでしょうが、何らかの支障がある場合は、近しい先生が相談に来てくださるようお願いいたします。
支援ニーズの多様性への配慮
既に「障がいについて」のページでも述べられているように、障がいは○○障がいという「診断名」だけでは支援ニーズの特定ができません。その障がいの程度や特性に加え、その学生がこれまでの生活歴の中で、自分の障がいにどのように対応してきたかによっても違ってきます。
例えば、車いすに乗った人の場合、段差は人に押してもらう方が安心という人もいれば、自分で越えた方が安心という人もいます。本人のニーズに合わない支援は「支援」とは言えません。また、マニュアル通りとはいかない支援も数多くあります。まずは支援のニーズを本人に聞くことが大切です。
分かりにくい障がいへの配慮
「分かりにくい」には2つのケースが考えられます。一つは、聴覚障がいや内部障がいのような(外からは)見えない障がいです。もう一つは、精神障がいや発達障がいのような本人の困っていることが見えにくい障がいです。
共通している配慮点としては、それを周囲に開示しても良いかどうかです。支援内容によっては、担当教員や、同じ授業を受けている学生に開示する必要性が出てくる場合もありますが、ここでも本人のニーズを聞いて意思を尊重することが大切です。
周囲の学生に支援の協力を求めたり、その障がいの説明等を行う場合は、必ず本人の了解をとってください。個人情報の取り扱いには、十分に気をつける必要があります。見えなくて理解しにくい障がいの場合、本人も自分の障がいに気づいていないこともあります。そういった学生と先生方が関わっていく中で、学習上や学生生活上の困難さの背景に何らかの障がいがあるのではないかと感じられたり、学生への対応について困っているようなことがありましたら、支援室にご相談ください。状況に応じて、関係機関と連携をとりながら支援について検討いたします。
公平性への配慮
例ですが、普段はスライドや、配布資料、映像教材等の視覚教材を使用していた先生が、視覚障がいのある学生に配慮して、授業で視覚教材の使用を控え過ぎてしまうと、他の学生にとっては分かりにくい授業になってしまうかもしれません。このようなことは、一人の学生への支援にフォーカスを当て過ぎた場合に起こりやすくなります。支援や配慮は常に均一性を保ってなされる必要があります。
自分への配慮
平成28年4月から「障害者差別解消法」が施行されました。大学においても、障がいのある学生への合理的配慮の提供義務が課せられています。合理的配慮における具体的な支援の内容を決めるにあたっては、障がいのある学生の意思や、支援についての希望について、学生本人と関係者間で十分に検討して、共通の理解をもって支援にあたることが必要です。障がいのある学生の支援については個別性も高く、支援内容に関する判断が難しい時もあり、一人で抱え込んでしまうと支援をする側に過度な負担となる場合があるかもしれません。障がいのある学生に対して合理的配慮を提供するにあたっては、関係者間で密に連携していく必要があります。
障がい学生修学支援室では、障がいのある学生の支援認定や、支援に関する相談に対応しています。障がいのある学生への支援について迷ったらいつでも支援室にご一報ください。