障がいについて
障がいは多種多様で、同じ障がい種でもその状態は一律ではありません。よって、直面する困難さは個々人で異なり、接し方についても一律ではありません。そのことを念頭に置き、以下を参考にしてください。
視覚障がいとは?
視覚障がいとは、眼球・視神経・大脳視中枢などのいずれかの部分に障がいがあるために、見ることが不自由または不可能になっている状態を指します。視覚による認識が不可能または著しく困難である「盲」と、拡大鏡等を使用して保有する視力を活用できる「弱視」とに大きく分けられます。視覚障がいは視力の障がいであると思われがちですが、見える範囲が狭い、あるいは明るいところではよく見えるのに暗いところでは見えにくいなど、様々な状態があります。しかし、いろいろな世界を知りたい、いろいろな人と話をしたいという気持ちはみなさんと同じです。
視覚障がいのある人への接し方
- 静かに近づいてくる人に気づきにくかったり、その人が誰であるかが分かりにくかったりするので、「こんにちは。○○(名前)です」などと言葉をかけましょう。
- 目からの情報が不足しがちなので、可能であれば触って確かめていただいたり、話し言葉による十分な説明をしましょう。その際、「こそあど言葉」の使用は避けます。
- 慣れている場所では一人で移動できますが、不慣れな場所では、本人に付き添いながら移動を行い、適宜、必要な言葉かけをしましょう。
聴覚障がいとは?
聴覚障がいとは、外の音声情報を脳に送るための四つの部位(外耳、中耳、内耳、聴神経)のいずれかの部分に障がいがあるために、外の音声情報が「聞こえない」または「聞こえにくい」という状態を指します。聴覚障がいには、外耳と中耳の障がいによって音が小さくなったように聞こえにくくなる伝音難聴と、内耳や聴神経などの障がいによって元の音声情報がぼやけたり歪んだりしたような聞こえ方になる感音難聴とがあります。その両方に障がいある場合は混合難聴と言います。しかし、いろいろな人の考えを知りたい、いろいろな人と話をしたいという気持ちはみなさんと同じです。
聴覚障がいのある人への接し方
- 補聴器や人工内耳を用いている人がいますが、話し言葉などの音声情報が明瞭に聞こえるわけではありません。聞こえにくさの状態を本人に確かめてもよいと思います。
- 聴覚障がいの程度が重くなるほど視覚的な手がかり(実物、イラスト、筆談など)が重要となります。有効なコミュニケーション手段は個々人によって異なり、手話とは限りません。
- 障がい学生の前方から、逆光を避けて、話しかけます。話す際には、文節で区切り、ゆっくりとはっきりと豊かな表情で話します。そして適宜、理解できたかを確かめましょう。
肢体不自由とは?
肢体不自由とは、神経・筋肉・骨や関節などの運動に関する器官が、外傷や疾病で損傷を受けて、日常生活に必要な基本的な動作が長期にわたり困難である状態を指します。その状態は、不自由な箇所や程度に異なります。右半身だけ、あるいは両足だけ、全身の運動が不自由という場合や、発声・発語器官のまひによって話し言葉での意思表出が困難という場合もあります。その程度も,日常生活上の支障はあまりない場合や、多くの介助を要する場合など、様々です。しかし,いろいろな場所に行きたい、いろいろな人に出会いたいという気持ちはみなさんと同じです。
肢体不自由のある人への接し方
- 車いす利用等の下肢障がいの学生は、移動に困難さがあります。どのような箇所で困難さがあるのかを聴きとりながら、必要な支援を本人と一緒に考えましょう。
- 授業を含めた様々な大学生活の中で、代筆が必要な場合があります。関係部署の担当者と相談しながら、必要な支援を本人と一緒に考えましょう。
- 実験や実技などで器具等の使用や技術の体得が求められることがあります。授業担当の教員と相談しながら、必要な支援を本人と一緒に考えましょう。
発達障がいとは?
発達障がいとは、脳機能の特異性によって日常生活や社会生活に困難を来しやすい状態を指します。知的な発達の遅れはありません。聞く・話す・読む・書く・計算する・推論するといった学習上の基礎的能力のうち、特定のものの習得と使用に困難を示す学習障がい(LD)、不注意・衝動性・多動性を特徴とする注意欠如・多動性障がい(ADHD)、社会的コミュニケーションの困難さと限定された反復する様式の行動や興味を特徴とする自閉症スペクトラム障がい(ASD)などがあります。しかし、いろいろな場所で心地よく過ごしたい、いろいろな場面で自分の力をよりよく発揮したいという気持ちはみなさんと同じです。
発達障がいのある人への接し方
- 原因が本人の努力不足や家庭環境などにあると誤解されることもあります。まずは本人の特性やそれに伴う生活上の困難さをあるがままに受けとめましょう。
- 比喩的な表現や暗黙のルールなどを理解しにくく,対人関係上の困難さに直面することがあります。そこで、より具体的に、視覚的な手がかりも使いながら簡潔に説明しましょう。
- すべき複数の課題の優先順位を考えたり、計画的・合理的に実行したりできず、学業上の支障が生じることがあります。本人が置かれている状況について一緒に考え整理しましょう。
※参考にした情報独立行政法人日本学生支援機構/合理的配慮ハンドブック/修学支援に当たって